戒名等について

西蔵寺本堂

戒名について

茶道であれば「茶名」、華道であれば「華名」があります。時宗では、ご本尊様に戒(檀信徒として日常生活において心がけるべきこと)を守り、仏教徒として生きることを誓った方に、信仰の証として授けられるのが戒名です。

戒名には、その人が生きていく上での目標とすべき人生の生き方や課題が盛り込んであり、生きている間に「自分の意志で授かる」のが本来のあり方です。このように生前に戒名を授かることを授戒といいます。

授戒の証として戒名とともに、血脈(インドのお釈迦様の教えが師から弟子へと伝えられ、さらに日本において一遍上人の教えが代々の遊行上人から現在のお上人へと受け継がれた証。「けちみゃく」と読みます)を授かります。

なお、西蔵寺では、戒名は男女ともに〇阿〇〇の4文字(副住職を例にすると、観阿貴法)が基本となります。これに信士・信女などの位号が付いて、〇阿〇〇信士のようになります。


お布施について

お布施は「布を施す」と書くように、お釈迦様の時代に托鉢していた僧侶が、ある貧しい家を訪れた際「何も差し上げられるものがありませんが、このようなもので良ければ」と、汚れた布(ぼろきれ)の施しを受けたのが起源とされています。さらにその汚れた布を継ぎ接ぎして着るようになったのが糞掃衣で、これが我々僧侶が着る袈裟の起源とされています。

西蔵寺では、お布施はご本尊様へのお供え、寺の護持についての寄付として、財施(お金や物の施し)を頂いています。お布施は見返りを求めない施しのことで、我々僧侶は檀信徒さんへ法施(法要や法話を通じて時宗の教えを説く)を行い、檀信徒さんからは財施(お金や物の施し)を受けます。

「お布施はいくらですか?」と聞かれて「お気持ちで結構です」と答えるのは、法施も財施もどちらも見返りを求めない施しであるからです。

このように金額に決まりはありませんが、不安を感じる方は、葬儀や法要等の連絡の際にその旨お伝えください。


葬儀から納骨までの流れ

葬儀は故人の極楽往生を願うとともに、集まった方々が故人との縁に感謝する大切な儀式です。ここでは葬儀に関連する事柄について、檀信徒さんに知って頂きたいことをまとめました。

血脈
上記の戒名とともに血脈をお授けします。生前に授戒されている方からは頂いておりません。

位号
寺の護持のために特別に寄進したいという方からは冥加料の寄付を頂いております。通常は頂いていない寄付ですので、冥加料を頂いた場合は、それに応じたお返しとして居士号・大姉号、軒号、院号をお授けしています。

枕経
昔は臨終が近い人の枕もとで「阿弥陀仏のお迎えがあるので、何も恐れることはありません」と語りかける意味での枕経が行われたそうです。今でも故人とご遺族の安心(あんじん)のため、故人の枕元で読経を行い、最後に皆さんと一緒にお念仏を称えます。枕経には亡くなられた故人とご遺族の「こころを落ち着ける」大事な役割があります。

入棺
全国的には、故人のご遺体を棺に納めることを納棺(のうかん)といいますが、この辺りの地域では入棺(にっかん)といいます。

「極楽浄土へ無事に旅立てますように」という参列者の願いを形(手甲、脚絆、足袋、編み笠、六文銭、花、思い出の品や別れの言葉など)に表して、棺に一緒にお納めする儀式が入棺です。

野辺送り
火葬場まで故人のご遺体をお見送りします。海の水はやがて雲になり、雨になり、大地を潤し、川に流れ、巡り巡って元の海に還る(姿形を変えて、あるべき場所に落ち着く)ように、故人は阿弥陀さまの本願力(南無阿弥陀仏とお念仏を唱える人々を極楽浄土へ救い取る力)によって、我々が住む娑婆世界を離れ、極楽浄土へと旅立っていきます。

葬儀
故人が娑婆世界に後ろ髪をひかれず、安心して極楽浄土に旅立つことができるよう応援・後押しするとともに、故人と自分との縁に感謝し・想いを馳せる儀式が葬儀です。また、住職の引導や法話によって、故人や参列者が死を受け入れる場でもあります。

葬儀については、ここ1~2年で小規模化・家族葬化が顕著になっています。数年前までは決まった流れを踏襲することが多かったのですが、規模が小さくなることで逆に施主さんやご家族の想いを反映しやすくなっているように感じます。

五七日忌取越法要
五七日忌法要は本来亡くなってから35日目に行いますが、西蔵寺では葬儀の直後に五七日忌取越法要を行います(取越法要は本来よりも日程を繰り上げて行う法要のこと)。

これは、葬儀当日は個人に縁のある方がより多く集うことから、一番この世との別れがつらくなる五七日忌の回向をこのとき行い、多くの人々が称えるお念仏の力で極楽浄土への旅立ちを応援・後押ししようという意味があるそうです。

初七日忌
初七日の法要です。以前は初七日・二七日・三七日・四七日・五七日・六七日・七七日忌まで、七日ごとに法要を行っていましたが、時代の流れもあり、西蔵寺では初七日忌と七七日忌のみ行う方が多くなっています(二七日~六七日までは自宅の祭壇で手を合わせる)。

七七日忌・百ヵ日忌・納骨
本堂で法要を行った後、お墓で納骨と回向を行います。これも時代の流れで、西蔵寺では七七日忌と一緒に百ヵ日忌の取越法要を行う方が多くなっています。