お盆は「日本仏教が起源」と思っている方が多いと思いますが、実は仏教がインド→中国→日本と伝わる過程で、様々な国の文化・宗教観が組み合わさって形作られたものです。
例えば、「お盆(盂蘭盆会とも呼ばれます)」という言葉や「施餓鬼法要」は、インド上座部仏教の「ウランバナ」に由来にします。また、精霊棚に飾り付ける「五如来幡」の五色(緑・黄・赤・白・紫)は中国の五行説に由来します。
そして、「お盆にご先祖様が帰ってくる」という信仰は、仏教ではなく、日本古来の祖霊信仰(人は亡くなると、肉体から魂が遊離し、精霊となって、自分が生まれ住んだ地域の山へ昇っていく)が根底にあります。
一つ一つを個別に調べていくと大変ですが、シンプルに考えると「施餓鬼法要」でお唱えする「先祖代々の諸精霊追善増上菩提 因みに六道四生三界萬霊有縁無縁抜苦与楽超生浄土」というお経の文言に集約されると私は考えています。
考えてみますと、我々はこの世に生まれてくることも、ただ生きていくことでさえも、自分一人の力ではできません。縁によって、今この時・この世にあるのが自分という存在です。ご先祖様や故人、そしてあらゆる命に感謝し・供養する、思いを馳せるひと時がお盆なのだと私は思います。
まだまだコロナ禍が続き、本当に大変な世の中ですが、皆様、良いお盆休みをお過ごしください。
五如来は施餓鬼法要のご本尊とされ、南無宝勝如来(なむほうしょうにょらい)・南無妙色身如来(なむみょうしょくしんにょらい)・南無甘露王如来(なむかんろおうにょらい)・南無廣博身如来(なむこうばくしんにょらい)・南無離怖畏如来(なむりふいにょらい)と、その名号をお唱えすることで、餓鬼が苦しみから救われるとされています。